会津で歴史と自然を感じる旅〜飯盛山編~

「ただの観光じゃ物足りない」「歩きながら、その土地の空気を感じたい」――そんな方にぴったりなのが、会津若松・飯盛山周辺をめぐるフットパス。今回は、歴史と自然が調和するこの地を、ゆったりと歩いて巡る1〜2時間のルートをご紹介します。
歩くのは「妙国寺」「旧滝沢本陣」「さざえ堂」「白虎隊墓前」といった、会津の歴史を語る上で欠かせない名所ばかり。観光バスでは見過ごしてしまうような小さな風景や、地元の人々との会話も、この旅の魅力のひとつです。
歴史の小径を歩く、飯盛山フットパス
始まりは飯盛分店駐車場
旅はここからスタート。
受付を済ませ、仲間と顔合わせをしたら、いざ出発です。
程よい緊張感と期待、地元につながる温かさが混じったもので、とっておきの1日の始まりを感じられます。
第一の立ち寄り:静寂と歴史が息づく「妙国寺」
駐車場から歩いて最初に訪れるのは「妙国寺」。
境内には飯盛山で自刃した白虎隊士の墓が残っています。また藩主・松平容保が降伏した際には妙國寺で1ヶ月間謹慎したと言われています。
境内は落ち着いた雰囲気で、手入れの行き届いた庭や石碑が並びます。朝の静かな空気の中で、旅のはじまりにふさわしい心の整う時間が流れます。
第二の訪問地:会津藩の誇りを感じる「旧滝沢本陣」
妙国寺から少し歩くと、「旧滝沢本陣」が見えてきます。ここはかつて、会津藩の藩主・松平容保公が滞在し、重要な軍議が行われた歴史の舞台。国の史跡にも指定されており、内部では当時の調度品や文書などを見学することができます。
建物の造りや雰囲気には、武士の誇りや緊張感が漂い、幕末の時代にタイムスリップしたような感覚になります。
同行するガイドから会津戦争の経緯や、白虎隊との関係など、より深い物語を聞くことができ、歴史がグッと身近に感じられることでしょう。
メインエリア:歴史の重みと静けさが漂う「飯盛山」へ
さざえ堂:世界的に珍しい建築体験

いよいよメインとなる「飯盛山」へ。緩やかな坂道を登っていくと、目を引く不思議な建物が現れます。それが「さざえ堂」です。
1796年に建立されたこの建物は、世界でも珍しい「二重螺旋構造」を持つ木造建築。中に入ると、螺旋状のスロープをぐるぐると登りながら、三十三観音を巡拝できるという独特な造りになっています。
階段ではなくスロープなので、体力に自信のない方でも登りやすく、建築ファンや写真好きにも人気のスポット。建物の中を歩くたびに、木の香りと歴史の重みを感じる、ちょっとした冒険が楽しめます。
白虎隊墓前:若き隊士たちへの静かな祈り
さざえ堂の奥、さらに進むと、飯盛山の斜面に整然と並ぶ「白虎隊士の墓所」にたどり着きます。ここには、戊辰戦争の中で命を落とした白虎隊士19名が眠っています。
わずか16〜17歳の少年たちが、城下町・会津を守ろうと戦い、最期を迎えたその想いを感じる場所。静かに手を合わせると、自然と胸に込み上げるものがあります。
眼下には、彼らが最後に見たとされる「鶴ヶ城」も望めます。現代の平和な風景の中に、かつての緊迫した時代の空気が重なる――そんな一瞬が、訪れる人の心に深く刻まれるはずです。
終着点:再び駐車場へ。歩いた余韻に浸る時間
歴史と感動の詰まった飯盛山をあとにし、再び飯盛分店駐車場へと戻ります。歩いた距離はそれほど長くはありませんが、心に残るものは多く、どこか凛とした気持ちになるのが、このルートの不思議な魅力。
参加者全員にお土産もしくは御朱印付きのコースとなっています。
最後に近くのカフェでひと休みしたり、お土産を選んだりするのもおすすめ。会津塗の小物や地元のお菓子など、旅の余韻を持ち帰ることができます。
この旅の魅力、まとめ
歴史を肌で感じるルート:妙国寺、旧滝沢本陣、さざえ堂、白虎隊墓前…すべてが物語のある場所
歩いてこそ見える景色:車では見落としがちな細道や風景、地元の人とのふれあい
心と体を整える時間:急がず、ゆっくりと流れる時間が、日常の忙しさをリセットしてくれる
季節によって楽しみ方も変化:春の新緑、秋の紅葉など、自然の美しさも満喫できる
おわりに
飯盛山周辺のフットパスは、ただ歴史を“知る”のではなく、“感じる”ことができるルートです。ガイドの案内があれば、会津の奥深い物語や隠れた逸話に触れることもできます。
歩いた先にあるのは、ただの観光ではない“心の旅”。あなたも、会津の地を自分の足で歩き、歴史と向き合う静かなひとときを過ごしてみませんか?

